俺にしときませんか、先輩。
なんなの、本当。
どうしちゃったのよ、私…。
「いいから行きな」
「は、ちょっ…」
この空間が続くのが耐えられず、ドアを開けて由都の背中を押してしまう。
そのまま素早く閉めて、私は出ずに残った。
「あっ、由都くん、ここにいたんだね」
すぐに水戸さんの明るい声がして。
バタバタと足音がして、やがて離れていったのか、辺りが静かになった。
……もう出ていいかな。
そろりと半分だけ顔を出して右方向を見てみる。
「はぁ」
良かった、もう由都いない。
「…やっぱり」
安心して踏み出した先で、今度は左側から声がした。
反射的に振り向くと、水戸さんが腕を組んで立っていて、私の顔を見て目を細める。
「なんで…」
「え、」
「なんであんたがそんな顔するのよ」