俺にしときませんか、先輩。
なんでですか
*
*
「どうした、朝浦」
月曜日の放課後、不注意でパレットを落としてしまった私に杜秋先生が振り向く。
美術室の床に絵の具が飛び散ってしまった。
「すみません」
今日で2回目の謝罪だ。
ついさっき、立てかかっていた絵をドミノ倒しのように散乱させてしまったというのに、今度は床まで…。
一緒に片付けをしている先生に申し訳なさすぎる。
「朝浦、今日、様子がおかしいね」
なんかあった?と覗き込まれる。
「………」
あった。
めちゃくちゃあった。
でもそれは杜秋先生に話すような内容ではなくて、私は静かに首を振った。
「今日はもういいから帰りなさい」
「え…」
「あとは俺が片付けておくよ」
荷物を持たされ、美術室のドアまで開けてくれる杜秋先生。