俺にしときませんか、先輩。
もともと割り込むつもりはなかったけど、これじゃ、そもそも隙間すら残ってなさそうで笑えてくる。
『近いうちに』が正確にはいつなのか、関係ないくせにそんなことが気になって部活にも集中できなかったのだ。
だからこそ、告白の心構えできっと忙しい由都が、放課後に3階の美術室付近にいるなんて思わなかった。
……たまたま、通りかかったとか?
「先輩」
「…うん?」
「部活終わりました?」
「うん」
「一緒に帰りませんか?」
「………」
いーよって。
いつもみたいに言えない。
黙っていると、由都が不思議そうな顔をする。
「先輩?」
「…やだ」
「え?」
「やなの」
足元に向かって言葉を落として、そのまま一直線に歩いた。
後ろから追いかけてくる由都。