俺にしときませんか、先輩。

「もう、やめよ」


呼吸をゆっくり吐き出す。

冷静に見えるように。
戸惑いも悟られないように。



「え…?」


由都はわけがわからないといった表情だ。

そりゃそうだろう、こんな脈絡もなにもない終わりの告げ方をしたんだから。



「恋愛相談、やめにしよう」

「……急になに言い出すんですか?」

「ほら、この間言ってたじゃない、告白するんでしょ? それならそろそろ相談やめてもいいかなーって」



できるだけ明るく見えるように振る舞う。自然に、さらっと。

いつもの私はこんなかんじのはずだ。



「告白応援してるから、頑張って」



それだけ言って帰ろうとしたら、また由都が行く手を阻んできた。

かばんの紐を握っていた指先がはらりと落ちる。



「……本心ですか」
< 172 / 214 >

この作品をシェア

pagetop