俺にしときませんか、先輩。
「…え?」
由都がなぜか辛そうな顔を見せる。
なにかを訴えてくるようなその目に映り込んで、私も勝手に悲しくなった。
「俺が……誰かと手を繋いだり、一緒に笑い合ったり、大切にしたり。先輩が言う頑張ってって、そういうのを望んでるってことですか?」
視線は外せないまま、胸の奥がズキンと痛む。
なんでそんなこと聞くの?
告白頑張ってって、ちゃんと応援したんだから、普通にストレートに受け取ってよ。
由都の言ってることも行動も、たまに自分に想いの矢印が向いてるんじゃないかって思ってしまいそうになる。
あまりにも優しくて、あったかくて。
由都の好きな人が自分だったらいい。
なんて、期待する私は、もう恋愛相談には乗れないんだ。
うん、と小さく放った声が由都に届いたはわからない。
でももう、私を追ってくる足音は聞こえなかった。