俺にしときませんか、先輩。

「まずはさ、その子と仲を深めてみたら?
他愛ない話したり、そのなかに時々グッとくるものを混ぜてみたり」


自分にしてはいいアドバイスじゃないかって思ってたのに、由都は話を聞いてるのか、私の目を見てくるだけ。


「…じゃあ先輩は、どんなことにグッときます?」


「え、私?…………手、つなぐのとか、」



うわー、なに真面目に答えてんの、私。

ていうか、手繋ぐの好きだったんだ、思い巡らせて今気づいたよ。



「…っえ、」


早く訂正しなきゃと思ってたのに、いつのまにか隣に来ていた由都が、音もなく私の指を絡めとる。



「こうですか」

「ちょっと…っ」

「動かないでください」

「いやいや、て!て!」

「相談乗ってくれるんじゃないんですか」

「乗るけど!」

「練習も相談のうちです」



ええ…。そんな後付けみたいに言われても。

なんか、年上なのに、私の方がオロオロしてるし。対して由都は顔まであっち向いちゃって平気そう。
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