俺にしときませんか、先輩。
「私は……その人のこと、聞いてるんじゃない」
下を向いた水戸の肩がわずかに震える。
「なんで、私はだめなの?」
「…水戸」
「なんでなの!?」
「なんでとかじゃない。俺が水戸を、気にしたことがなかった」
素直に思ったのはそれだった。
今、なにをしてるのか。
今日の機嫌はどうか。
水戸には、そういう関心が向かなかった。
「っ、一度も? 私が由都くんの周り囲って、毎日おはようって声かけて、由都くんだけ見てたのに、一度も………気にならなかった…?」
「……ごめん」
謝った先で、はぁ…と呆れをはらんだため息が落とされる。
次にあげた水戸の顔には涙はなかったけど、代わりに怒りが満ちていた。
「どうせ好きな人ってあの先輩でしょ」
「っ」
「ラブレターまで書いちゃってさ、ほんっと腹立つ」