俺にしときませんか、先輩。
そもそも、数日前に約束していた今日のデート。それをドタキャンされた時、携帯を見ながら頬をゆるませていた言動も、ちゃんと見てた。
ううん。その前も、その前の前も、たぶん、もうずっと、恋人ってなにするんだっけ、と悩むぐらいには、付き合い方なんて身体の奥底に眠ってる。
「じゃあ、もうばれたことだし……別れてくんね?」
開き直ったあげく、そっちから別れを切り出すなんて、目の前の彼は、本当に私に告白してきたのと同じ人なのか、そんな考えが浮かんでくる。
「聞いてんの?」
動揺が伝わらないように、静かに解決しよう。
そう思ってたのに、くすくす笑う相手の子と、私を見下すような彼に、気づいたら、拳を握りしめていて。
「ちょうどよかった、私もそろそろ別れたいと思ってたから」
「は?」
面白くなさそうに右眉があがる。
一応、まだ、プライドってやつが残ってるみたい。
「私もいいかんじの人いるし、そっちに乗り換えようかなーって思ってた。今だって、美術室で会う約束してたから、だから、ちょうどよかった…」
ああ、なに言ってんだろ、私。