俺にしときませんか、先輩。
無意識に動く視線のなかで、ふと、由都の姿を見つけた。
それと一緒に、その隣の女の子も。
……誰だろう?
女の子はとびっきりの笑顔で話していて、由都はそれに慣れたように受け答えしてる。
すぐ近くで、由都の友達らしき人たちも、ふたりほど歩いていた。
「あっ、由都じゃん」
私に続いて沙葉も気づく。
「ねぇねぇサナちゃん、ちょっと気づいちゃったことがあるんだけどね、」
「うん?」
「あの、由都の横の子さ………由都のこと、好きだと思うんだ!」
「…へぇ」
「それでねっ、由都もあの子のこと、好きだと思うんだ!」
「え…」
そうなの?
ふふん、と自信ありげに沙葉が頷く。
「この間、由都にクラスメイトって紹介されたんだけど、家まで連れてきたからびっくりしたよ。初めてのことだよ!」
そっか。
じゃあ、あの子が由都の好きな子…。
もう一度、確認する私。
由都の方は位置的に見えないけど、女の子の方は確かにまんざらでもない顔をしている。