俺にしときませんか、先輩。
「な、仲良くしてよね、ふたりとも」
沙葉が不安げに首を右往左往させる。
「ん、するする、俺の未来の義弟くんになるかもだしね〜」
「っ、オトウト……」
「は、だれが」
「俺がに決まってんでしょ」
なんかもう、オオカミと犬の競り合いに見えてきた。
…若干、由都が負けそうだけど。
しばらく攻防が続くのかと思っていたら、新谷くんが沙葉の手を引っ張っていて。
「悪いけど、顔合わせはまた今度」
「しませんから」
睨みつける由都にもお構いなしで手を振る新谷くん。
「話があるから、沙葉、もらってくわー」
「えっ、新谷くん?」
「キョトンとしてんじゃねぇよ。忘れたとは言わせねぇよ?昨日の電話」
「…あ、」
「寝落ち電話したいっつーから繋いだのに、5分後にすーすー寝息立てたのはどこのどなたですかね?」
「ははは、」
「仕置き決定な」
「そんな!サナちゃん!」