俺にしときませんか、先輩。

「な、仲良くしてよね、ふたりとも」


沙葉が不安げに首を右往左往させる。


「ん、するする、俺の未来の義弟くんになるかもだしね〜」

「っ、オトウト……」



「は、だれが」

「俺がに決まってんでしょ」



なんかもう、オオカミと犬の競り合いに見えてきた。

…若干、由都が負けそうだけど。




しばらく攻防が続くのかと思っていたら、新谷くんが沙葉の手を引っ張っていて。


「悪いけど、顔合わせはまた今度」

「しませんから」


睨みつける由都にもお構いなしで手を振る新谷くん。



「話があるから、沙葉、もらってくわー」

「えっ、新谷くん?」

「キョトンとしてんじゃねぇよ。忘れたとは言わせねぇよ?昨日の電話」

「…あ、」

「寝落ち電話したいっつーから繋いだのに、5分後にすーすー寝息立てたのはどこのどなたですかね?」

「ははは、」

「仕置き決定な」

「そんな!サナちゃん!」
< 26 / 214 >

この作品をシェア

pagetop