俺にしときませんか、先輩。
にしても、新入生にまで知られてるなんて、最近別れた身としては、嬉しくない。
「私、水戸(みと)結菜(ゆいな)っていいます」
「え、」
「由都くんの彼女になる予定なので、そうなった時は、よろしくです」
「う、うん…?」
愛らしい小さな背丈をビシッとさせて、そう宣言した水戸さんは、くるっと向きを変えて歩いていった。
…なに、いまの。
なんか、わかんないけど、くりくりの大きな目から説明しようのない圧を感じたというか…。
そもそも、私によろしくって、なんで?
脳内には小さなハテナが出現したけれど、そのまま突っ立っているわけにもいかないから教室を目指して歩いた。