俺にしときませんか、先輩。
「ちょっとは話せてるみたいで良かったな、由都」
「うん」
目線を送ってきた大雅に頷いて小さく笑った。
「それにしても、由都は昔っからぶれないねー、先輩一筋」
「当たり前でしょ」
なんであんな先輩を大事にしないヤツが彼氏になれんの。
思い出しただけでムカつく。
先輩という存在がありながら、別の相手と浮気するとか。
しかも、それを先輩に見られても何とも思わないとか…………ありえない。
俺の方が絶対、先輩のこと知ってる自信あるし。
俺の方が絶対、先輩を想ってるし。
俺が俺がって…
「はぁ」
まあ所詮、選ばれてない負け犬の遠吠えだけど。
「そもそも、そんな健気に話しかけにいったところで、彼氏持ちでしょ?」
頑張るね〜と感心したように言うけーすけに無言の圧を送る。
例のあの日、美術室の一件を2人は知らない。教えてないから。
あの会話からすると、先輩は別れたってことなわけで。