俺にしときませんか、先輩。
デートしましょう
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金曜日のお昼休み。
昼食を食べ終わった私は廊下をぶらぶら歩いていた。
沙葉と教室が離れてから一緒に弁当を食べる回数は前より少なくなって。
それなのに、この間、美術室の棚の整理のことで杜秋先生に相談しにいった職員室でばったり新谷くんに遭遇。
そのとき、朝の登校は沙葉を譲るからお昼は俺に譲ってと言われた。
新谷くんも沙葉とはクラスがちがうから、なるべく一緒にいたいらしい。
そりゃそうだよね。
沙葉はかわいいし、一緒にいて楽しいし、独占したくなる気持ちもわからなくはない。
白馬の王子様なんてそんな夢みがちなものは望まないから、私にもかわいいって愛でてくれる人、現れないかなあ。
とか、そんなことを思っていると、数メートル前でクラスの学級委員の篠崎(しのざき)くんが荷物を抱えてよろめいていた。