俺にしときませんか、先輩。

分厚い教材が重なった上にダンボール、うわー、あれはひとりじゃ無理でしょ。


「えっ」


駆け寄ろうとする途中でドンッと音がして、篠崎くんが持っていたものがほとんど落ちていく。


「あ、ごめんー」

「やだ、ちょっとカヨコだいじょぶー?」


覗き込んだ先にいたのは、モエちゃんとカヨコちゃん。

ぶつかったことなんて気にせず、どっちも笑いながら横の階段を下りていく。


あっんのふたり…




「篠崎くん、私、持つよ」

「……え、」


せっせと落ちたものを拾い上げている篠崎くんに声をかける。

私も一緒に散らばっている教材を重ね直すと、なぜか篠崎くんが目を瞬いてこっちを見ていた。



「…どうしたの?」

「えっ、あ、…………名前、呼ばれたの、久々で…」

「?」

「いつも、委員長って呼ばれることが多いから」

「そうなの?」

「うん」
< 44 / 214 >

この作品をシェア

pagetop