俺にしときませんか、先輩。
分厚い教材が重なった上にダンボール、うわー、あれはひとりじゃ無理でしょ。
「えっ」
駆け寄ろうとする途中でドンッと音がして、篠崎くんが持っていたものがほとんど落ちていく。
「あ、ごめんー」
「やだ、ちょっとカヨコだいじょぶー?」
覗き込んだ先にいたのは、モエちゃんとカヨコちゃん。
ぶつかったことなんて気にせず、どっちも笑いながら横の階段を下りていく。
あっんのふたり…
「篠崎くん、私、持つよ」
「……え、」
せっせと落ちたものを拾い上げている篠崎くんに声をかける。
私も一緒に散らばっている教材を重ね直すと、なぜか篠崎くんが目を瞬いてこっちを見ていた。
「…どうしたの?」
「えっ、あ、…………名前、呼ばれたの、久々で…」
「?」
「いつも、委員長って呼ばれることが多いから」
「そうなの?」
「うん」