俺にしときませんか、先輩。
右足が横にぐわんと曲がり、ふらつく。
そのままガッチャンと悲惨なことになる想像が瞬時に頭をよぎったのに、
「っ……」
急に腕から手にかけての重みがなくなって、とっさに体勢が直せた。
「え、由都…」
「え、じゃないですよ、なにやってるんですか」
突然現れた由都が、私から取った荷物を軽そうに持ち上げながら眉間にシワを寄せる。
「こんな重いの持っちゃだめです」
「へーきよ」
「だめです。先輩の絵描く手に支障をきたしたらどうするんですか」
「…こ、このくらいなら」
「だめです」
澄んだ瞳がこれ以上反論するなと言いたげに細まる。
「これは俺が持ってくんで、先輩は教室戻っててください」
「悪いよ、そんな」
「じゃあ………今日の放課後、部活終わってからでいいんで、ちょっと付き合ってください」
「え」