俺にしときませんか、先輩。
公園を抜けて東よりに進むと、見慣れた大通りに出る。
「…あ、朝浦さん」
立ち並ぶ店を横目で通り過ぎながら歩いていたら、右にある雑貨店のなかから先輩を呼ぶ声がした。
それに反応した先輩が後ろでぱっと手を振りほどく。
……だれ?
………いや、見覚えがある。
同じ制服、つまりは同じ学校。
先輩に向ける笑顔で、あーこの間の…と思い出す。
「篠崎くん、今、帰り?」
「うん、ちょっと用があって。
……朝浦さんは、えっと…」
篠崎、というらしい、その男は、俺と先輩を見比べながら口ごもる。
その視線に察したように先輩がこっちを向いた。
「あっ、この子は友達の弟で、私の弟みたいなもんでもあって、さっきたまたま会ったからちょっと話してて」
「そう、なんだ」
「うん、そうそう」