俺にしときませんか、先輩。
……そんなにあわてて誤魔化さなくても。
身長だって前より伸びたし、手だって人並みに大きくなった。
男らしく身体だって鍛えてるつもりで、どうしても変わらないのは年下ってことだけなのに…………オトウト。
男っていうステージ上にすら立てないその言葉はあまり嬉しくない。
こんな時、先輩の恋人なら、もう行こうって袖のひとつでも引っ張れるのに。
立ち止まって話しているふたりを前にそんなことを思ってしまう。
「由都、ちょっといい?」
「なんですか」
「10分だけ待っててほしくて。篠崎くん、お母さんの誕生日プレゼントがなかなか決まらないらしいからさ、ちょっと一緒に見てみようかな、とか……」
「………」
嫌ですって言ったら、どうするんですか。
だいたい、なんで先輩がこの人のプレゼント選びに付き合うんだ。