俺にしときませんか、先輩。
探るように顔をあげると、少し不思議そうな顔をした先輩が、わかった、と答えた。
「それより早くゲームしましょう」
「あっそうだ、ゲーム!」
急にわかりやすく明るくなった先輩の足取りが軽くなる。
それに合わせるように俺も急いだ。
ゲームセンター内は夜だってことを忘れるほど光が強くて、外との温度差にかち、と目を瞬く。
「先輩、どれがしたいですか?」
「えっとね…」
先輩には目当てのゲームがあるみたいで、ひとつひとつ見て回っている。
奥まった場所に入ったところで、あっと声があがった。
「これ、やりたいやつ!」
「モグラたたき…」
「そう! 前に、たまたま意気投合した小学生とやったことあるんだけど、ことごとく負けて、リベンジしたいのよ!」
すでに気合いバッチリの先輩が袖をまくる。