俺にしときませんか、先輩。
肯定を意味する頷きに、私の目ががぱっと開く。
……まって、まって、まって。
ありえない。
こんなに、さらっと。
「ジンセイハツ…」
「え?」
「人生初なんだけど、男子にかわいいって言われたの」
今度は由都が驚く番だったようで、喉がゴクリと揺れ動いている。
「それは……ぜったい嘘」
「ほんとよ」
「はあ?」
「はあ?ってなによ」
「どう見たって先輩、かわいいじゃないですか」
「う、ん?」
「なに首傾げてるんですか。そのかわいい顔でかわいくないなんて言ったら、世の中の女子、敵に回しますよ」
「っ…」
ちょっと本当にいったん黙ってほしい。
意味不明な由都の力説に耐えられず、顔を背ける。
年下相手に顔が赤くなるなんて、らしくないぞ、私。