俺にしときませんか、先輩。
肩を落としていると、後ろから笑い声が聞こえ、私の横を通過した指先がチャリンという音と一緒に抹茶アイスのボタンを押す。
「えっ、由都…」
「抹茶、食べたいんですよね」
「そう、だけど」
「ちょうどよかった。俺、いちごがいいんで、交換してください」
……ぜったい嘘。
さすがの私でもわかるのに……由都って本当に優しい。
これで断るのも善意を無駄にするような気がして、私はお言葉に甘えることにした。
「予行デート、こんなのでよかったの?」
購入したアイスを食べながら、ふと舞い降りてきた疑問。
どうせならもっとデートっぽい場所に行けばよかった。
これじゃあ、私がただただ楽しんだだけだ。
「十分です」
「どこがよ」
「先輩とのデート楽しかったから、だから十分です」
「……」