俺にしときませんか、先輩。


なんだ、そうか。
そういうことか。



「グッてきたよ、さすが由都。いいと思う!」

「は?」

「好きな子にも、きっと効果抜群よ」



焦った…。
普通に焦った。

帰りたくないとか、本当に自分に言われてる気がして、本気でびっくりした。



「…そうじゃないのに」

「ん?」

「…なんでもないです」



隣でぶつぶつなにかを呟く由都に、帰ろうと言う私。

すると、なぜか不満げな顔。

そんな由都にほら行くよと声をかけ、ゲームセンターから出て、すっかり暗くなった夜道を歩いた。





家に着いてお風呂に入って、由都からもらったパンも食べて、思ったことがある。




由都の好きな子は幸せだ。


『その人のこと、一番想ってる自信、あるんです』


あんなに言い切ってもらえて。

キラキラした目で語る由都は、本当に恋してるってかんじ。


私にはわからないその眼差しをちょっとだけ羨ましく思いながら、今日一日満足した身体はふわふわと眠りについた。


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