俺にしときませんか、先輩。


「よし、やるか」

「そうだね」



取りかかって、ぐーんと進んだ気がしたのは、最初の1時間。

瞬きを忘れるほど集中して解いたっていうのに、分厚いドリルの数ページしか攻略ならず…。

やっばい、やる気遠のいてきた。


時計を見ると、時刻は11時27分。


お昼にはまだちょっと早いし、やるしかないぞ、私。





「おい、押すな」

「わー、大雅、俺の靴下滑りそう」

「なっ…おまえら、なにして…っ」



ドア付近。

もう一度ペンを走らせようと思ったところで、聞こえてきた声。

なんだと思い、目を丸くしていると、すっと立ち上がった沙葉がドアを開けた。



「なにしてんの!」


「うぉわっ」

「やべ」

「おまえらな…」



そこにははじめましての顔がふたりいて、なぜか私の方をじーっと見られる。
< 81 / 214 >

この作品をシェア

pagetop