俺にしときませんか、先輩。
「よし、やるか」
「そうだね」
取りかかって、ぐーんと進んだ気がしたのは、最初の1時間。
瞬きを忘れるほど集中して解いたっていうのに、分厚いドリルの数ページしか攻略ならず…。
やっばい、やる気遠のいてきた。
時計を見ると、時刻は11時27分。
お昼にはまだちょっと早いし、やるしかないぞ、私。
「おい、押すな」
「わー、大雅、俺の靴下滑りそう」
「なっ…おまえら、なにして…っ」
ドア付近。
もう一度ペンを走らせようと思ったところで、聞こえてきた声。
なんだと思い、目を丸くしていると、すっと立ち上がった沙葉がドアを開けた。
「なにしてんの!」
「うぉわっ」
「やべ」
「おまえらな…」
そこにははじめましての顔がふたりいて、なぜか私の方をじーっと見られる。