笑顔でありがとう
『手紙、あの人に届いたのかなぁ?』変わらない現実を信じたく無かった。今日一日、気分は、沈みっぱなしだった。放課後またいつものように練習をしているあの人を見た。真っすぐで一生懸命で気付いたらあの人の事を想って、半年が過ぎていた。
ずっと見てきたから、何となくあの人の事がわかっていた。そんなに目立つわけでもなく、控えめな感じ、でもあの人が持っている、森のように大きな空気。
何か気になる存在、私は
やっぱりあの人が・・・
最初は返事がもらえなかったけど、今度こそは・・・そう思って気持ちを綴った2度目の手紙。なかなか渡せずに机の中にしまってある。こたつに入り音楽を聴きながら、手紙をもう一度読み返して見る。下手だけど本気で書いた!出来るだけカラフルに。
『決めた!明日渡そう!』まだ耳に残るメロディーに後押しされた。
今夜はなかなか眠れない。いい事、悪い事、それぞれを想像していた。
明日になれば分かる事。
そう言い聞かせて目を閉じた。
気付いたら朝だった。いつ眠ってしまったのか覚えていないけど、流しっぱなしにしてた音楽がしみ込んでいた。
< 3 / 38 >

この作品をシェア

pagetop