双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
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蒼斗さんとの予期せぬ再会から三週間が過ぎた。今日は父の退院日だ。

この三週間どこか気持ちが落ち着かない状況で過ごしたが、特に代わり映えのない生活を過ごしてきた。

蒼斗さんとの鉢合わせを避けるため、私はあれ以来なにかと理由をつけて父の見舞いに行っていない。父に、〝なんて薄情な娘なんだ〟と思われているかもしれない。

本当は私だって母や弟から話を聞くだけではなく、直接父を見舞いたい。だけど、また病院で蒼斗さんに会ってしまえば、彼はいろいろ探りを入れてくるかもしれない。

そう思うと足が病院に向かうことはなかった。

〝できれば今度ゆっくり会いたい〟

あの日、耳元で囁かれた言葉が頭の中をループする。蒼斗さんは真実に気づいているのだろうか。いや、あの場では確証は持てなかったはず。
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