双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
『蒼斗の気持ちを聞いてから私なりにいろいろと考えた。母さんにもいろいろ言われてな』

「母さんに?」

母の顔が頭に浮かんだ。

前に言った〝あちら側にも味方がいる〟というのは、実は母のことだ。父とは違い母は柚希との交際に反対はしていない。

むしろ恋愛に無関心であった俺にそういう女性ができたことが嬉しいらしく、父の説得にも協力的だった。

今はまだ柚希や息子たちに会わせてはいないが、母は三人と会うのを楽しみにしている。

『私は蒼斗に自分の理想を押し付けすぎたのかもしれない』

「父さん……」

俺が出ていってからの父の様子を母から聞いてはいたが、電話越しの父の声は元気がなく弱々しく聞こえた。初めての息子の反抗がよほどショックだったようだ。

『蒼斗の気持ちはよく分かった。近いうちに今後について話をしよう。都合がいいときに家に顔を出しなさい』

「分かりました。のちほど連絡します」

父の口ぶりからすると話はいい方向に進むのではないだろうか。まだ油断はできないが、早くことが進むように日程を調整して早めに父に会いに行こう。

なによりも今は父から連絡があったことを柚希にも伝えたい。

電話を切るとホテルを出る準備を急いだ。
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