双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
部屋を出て足早にエレベーターへと乗り込みロビーへと向かう。

そしてチェックアウトの手続きを済ませ、専用駐車場に向かおうと歩き出したそのとき。

「蒼斗さん?」

不意に名前を呼ばれ、そちらへと意識が動いた。

「……っ!?」

目に飛び込んできたその人物に驚き目を見開く。そこには見覚えがある女性の顔があり、その瞳が俺を真っ直ぐに見つめてくる。

「まさかこんなところで会うなんて驚きました。お元気ですか?」

彼女も俺同様、驚きを隠せない様子で瞳を揺らす。

「ええ。変わらずやっています」

「そうですか。それならばよかったです」

「……」

「……」

ぎこつなく会話が続かない。

予想外の彼女との再会。

過去のあの記憶が蘇る。

「話の途中ですみませんが、今から病院に向かう予定があるので失礼し……」

気まずさに耐えられずにその場を離れようとしたその瞬間、

「あの、今から少しだけお時間をいただけませんか? 蒼斗さんにお伝えしておきたいことがあるのです。お願いします」

思いつめたような顔の彼女がそう言って俺に向かって頭を下げた。
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