双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「昼から急遽、里谷(さとや)様の宴会が入ったんだよ。里谷さんはずっとうちをご贔屓(ひいき)にしてくださっているお客様だろ? 父さんが挨拶できない状況だから代わりに俺が顔を出すことになったんだよ。挨拶もなしなんて失礼なこと出来るかよ」

仁紀が渋る私を見て盛大なため息を吐いた。

私たちは家族で旅館を経営している。父が社長として弟が副社長として母が女将として旅館を切り盛りしており、将来的には弟が父の後を継ぐ予定になっている。

私は家族の協力を得ながら蒼汰と優斗を育て、旅館内の茶房で働かせてもらっている。

決して大きなお宿ではないが、美肌の湯と(うた)われる源泉かけ流しの温泉と四季折々の料理を売りにしており、お忍びで訪れる芸能人もいる。

過去には日本の名宿五十選に選ばれるなど全国的にけっこう有名な旅館だったりする。
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