双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「姉ちゃんさ、病院に行くことを避けているよね?」

「そ、そんなことないよ」

「もしかしてあのお医者さんと訳ありなの?」

「はぁ? そんなことあるわけないでしょ!」

ニヤリと笑う仁紀の顔を見ているのが気まずくなり、思わず視線を逸らした。

「あのとき妙に姉ちゃんが焦っていて、様子がおかしかったから。それに最後になんか耳元で言われていたよね?」

やはり仁紀は鋭かった。それでもそれを認めるわけにはいかない。

「変なこと言わないでよ! 迎えに行けばいいんでしょ。行けば!」

「んじゃそういうことでよろしくな」

必死に否定することに躍起(やっき)になり、まんまと弟の話術にはめられてしまったではないか。

してやったりという顔を浮かべる弟を(にら)むことしかできなくて、結局、私は父の迎えに行くことになったのだった。
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