双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
茶房の仕事を午前中で上がり、家に戻り軽食を取ってから病院に向かおうとしたが、緊張からか食べ物が喉を通らなくて、ホットコーヒーを少しだけ口に含み車に乗って家を出た。

そして運転すること三十分あまり。白いお城のような外観の建物が目に飛び込んできて、心音が自然と大きくなっていく。

ここはこの辺りで一番大きな総合病院だ。

病床数は百を超え、内科、小児科、耳鼻科、口腔外科、産婦人科、心臓外科、脳神経外科など多岐にわたる診療科がある。特に心臓外科が有名で、全国各地から患者が訪れているらしい。

駐車場に車を停めて入退院患者専用の入り口から中へと入り、病棟へと向かうためにエレベーターへと向かう。

「五三六号室だから、こっちかな?」

願わくはこのまま蒼斗さんと会わずに父を迎えたい。辺りをキョロキョロと見渡しながら歩く私は、きっと不審者に見えるかもしれない。

ひとまずナースステーションに声をかけようと歩を進めて行くと、ナースの声が聞こえてきて足を止めた。
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