双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
それはこどもたちが通う保育園で清掃員として働くシノさんだった。子供たちにとても慕われている彼。園長先生も驚きを隠せない状況だ。

ひとまず蒼斗さんに説明をしなけれ……

「東雲さん……？」

蒼斗さんがシノさんの名前を呟いた。

どうしてシノさんの名前を蒼斗さんが知っているのだろう。ふたりは顔を合わせたことなどないがはずだ。

「蒼斗さん、シノさんのことを知っているのですか？」

「柚希も知り合いなのか？」

「この人は当園で週に何度か清掃の仕事をしている、東雲大輔(だいすけ)さんという方です」

園長先生の言葉に蒼斗さんが激しく動揺を見せた。

「そうか。そういうことだったのか」

すべてを悟ったらしい蒼斗さんの表情が、みるみる険しくなっていく。

「どういうことですか？」

「彼は、父が四年前に勧めようとしていた見合い相手の父親だ」

「それって……」

「そうだ。柚希に父が説明した相手だ」

点と点が徐々に繋がっていく。動揺から激しく鼓動する心音が頭にまで響き出した。

「見合いが流れ、その後いろんないきさつがあり結果的に東雲さんは会社を失った。そのことで彼は父を恨んでいたんだ」

蒼斗さんの震える声が耳の奥底に響いた。
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