双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました

いったいどこに向かった？

思い入れのある自分の会社があった場所か？

父の病院？

どこだ。冷静に考えろ。

「もしかしたら……」

鞄の中の名刺ケースを取り出した。

「場所が分かったんですか？　どこですか？」

助手席に座る柚希がこちらに視線を向ける。

「彼女なら分かるかもしれない。東雲さんの娘さんだ」

この間ホテルで会った時に〝なにかあったら連絡をください〟と渡された名刺を手に取りその番号に電話をかけた。

何コールめで電話に出た彩乃さんに事情を伝えると、彼女はひどく動揺し声を震わせながら何度も謝ってきた。

そして、思い当たるひとつの場所を口にした。

もしかしたらそこにいるかもしれない、と。

普段から父親のことを気にかけている彼女なら行き場所の検討がつくのでは、と思った。

その予想が当たっていることを願いながら車を走らせた。