双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「あなたを訴えることも、事を大きくすることもしません」

私たちもどうすべきか悩んだ。怖い思いをしたのも事実だ。息子に手を出そうとしたことは許せない。

それでも、シノさんの優しさを知っているから。彩乃さんの想いを目の当たりにしてしまったから。

もう一度だけシノさんのことを信じてみることにしたのだ。

これは蒼斗さんと話し合って決めたこと。

「でも私は取り返しのつかないことをして……」

「あなたはちゃんと思い止まれた。これからはちゃんと家族と向き合ってください。こんなにもあなたを想ってくれる娘さんがいるのですから」

「蒼斗くん……」

「ただし許すのは今回に限ってです。次、家族を傷つけようとしたらただじゃおかない。いいですね?」

蒼斗さんはシノさんの目をまっすぐに見つめ、穏やかな口調でそう言った。

「はい……」

シノさんが肩を震わせながら再び、深く深く頭を下げた。

きっと、シノさんはもう道を間違ったりはしないはず。

大切なものの存在に気付けたから。

これからは過去に囚われず、心穏やかに生きてほしいと切に願う。
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