双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
お母さんと違いあまり息子たちに話しかけてこないし、話に混ざってくることもない。

淡々と料理を食べるだけの姿を見て、やはりこの食事会にもあまり乗り気ではなかったのではないかと、不安な気持ちが募ってくる。

「少し柚希さんとふたりで話したい。少し席を外してもらえないか?」

「柚希とふたりですか?」

デザートを食べ終えた頃、お父さんが突如言い出した提案に、私は目を大きくした。蒼斗さんも戸惑っている様子だ。

「ああ。隣の部屋にお茶とお菓子を準備させてあるから、子供たちとそちらで待っていてもらえないだろうか?」

「できれば俺も一緒に話を聞きたいと思うのですが」

蒼斗さんのその発言は、私への気遣いに違いない。

「安心しなさい。柚希さんを傷つけるようなことはしない。きちんと私の想いを柚希さんに伝えたいと思ってね。それに子供たちに聞かれたくない話もあるから、ふたりきりにしてほしいのだ」

蒼斗さんは考え込んだ様子だ。

できればふたりきりは避けたかったというのが本音だが、蒼斗さんと一緒に歩むと決めたからには避けて通れない道でもある。

きちんと話をし、私自身も過去のわだかまりをなくして進んでいきたい。

「分かりました。お話しさせてください」

それが私の出した答えだった。
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