双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「ママ~! おしっこでる!」

一息つけたのもつかの間。蒼汰が私のもとへとやってきて、蒼斗さんがいるであろうトイレと向かった。

茶房内にあるふたつの個室トイレ。中の様子を窺うが、人の気配は感じられない。

いったい彼はどこに行ってしまったんだろう。まさかさっきのアルコールのせいで、どこかで倒れていたりしないよね?

なんで私、こんなに心配しているのだろう。

もう関係ないじゃない。

でも、それでも倒れていたら……。

なぜか気が気じゃない。

アルコールを勧めたのが自分の父親だから、責任を感じているだけ。

別に蒼斗さんのことが好きとか、好意があるわけじゃないんだから……。

蒼汰を茶房に戻し、ミネラルウォーターのペットボトルを手に取って館内を捜し始めること数分。

中庭の桜並木にもたれかかり座り込む蒼斗さんの姿を見つけ、そっと近づいた。

「体調、大丈夫ですか?」

「やっぱりアルコールは体質に合わないらしい」

フッと笑い、彼は瞑っていた目を開けた。

「だから無理せずにと言ったのに」

「あそこで断るのは失礼だろ」

ペットボトルを差し出すと彼はそれを〝ありがとう〟と言って受け取り、グビグビと飲み始めた。
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