双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました

蒼斗さんとの出会いは、私が二十一歳のとき。大学三年生の春休みだった。

高校生のときから長期休みになると私は父の旅館の手伝いをし、茶房の補助として働いていた。

その日もちょうど朝から茶房で仕事をしていて、昼休憩に入ろうと中庭を通り休憩室に向かおうとしていた最中、桜並木のところに人影が見え意識がそちらへと動いた。

キョロキョロと辺りを見回しては、しゃがみ込んでを繰り返しているその人物。

逆光で顔までは見えないが、浴衣を着ていることから宿泊客のようだ。そして長身の男性だということは分かった。

どうやらなにかを探しているようだ。

いったいどうしたというのだろう。

「あの、お客様どうかなされましたか？」

そっと近づき、声をかけた。