双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
〝見つかりますように〟と、願いながら探すこと三十分あまり。

なかなかそれらしいものは見当たらない。

「これだけ探してもないってことは、ここじゃないのかもしれないですし諦めます。ここまで一緒に探していただいてありがとうござい……」

彼が立ち上がりこちらへと向かって歩を進めてきた次の瞬間、

「あった! ありました! これじゃないですか?」

桜の花びらに埋もれた万年筆を見つけ、思わず叫んでしまった。

「それです。よかった……。一緒に探してくださりありがとうございます」

彼は安堵した顔を浮かべ頭を下げた。

「見つかって本当によかったです」

「実は、この万年筆は亡くなった祖父にもらった大切なものだったので、見つけてくださって感謝します」

「そうだったんですね」

やはり彼にとって大切なものだったらしい。

愛おしげに万年筆を見つめる彼の姿を見て、こちらまで頬が緩んだ。

「それでは私はこれで。お客様もどうぞごゆるりとお過ごしくださいま……」

「なにかお礼をさせてください」

立ち去ろうとした瞬間、まさかの彼からの提案が降ってきて目を見開く。
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