双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
きっと彼は律儀な人なのだろう。

お客様が困っていたら声をかけるのは従業員として当たり前だ。別に特別なことをしたわけでもないのだから、お礼なんて申し訳なさすぎる。

「お礼だなんて、そんな。大丈夫ですからお気遣いなく。それでは失礼します」

私はぺこりと頭を下げ、そそくさと歩きだした。

なんか最後、感じ悪かったかな。

ただ気遣いが申し訳なくて、その場を早く離れたかっただけなのだけれども。気を悪くさせてしまったらどうしよう。

なんて少し不安に思ったけれど、昼休憩を終えると仕事の多忙さにそんなことを考える余裕もなくなっていた。

名前を聞かなかったため、どこの部屋にお泊りのお客様かまったく見当がつかないが、ゆっくりと寛げていることを願いたい。

そう思いながらその日、私は仕事を終え帰宅した。
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