双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「誤解しているようだが、俺は結婚などしていない」
「え?」
解放された身体の隙間から蒼斗さんの顔を見上げた。重なった視線の先にあるのは真剣な表情で、彼が嘘を言っているようには見えない。
結婚していない? そんな……。
私はあのとき直接蒼斗さんのお父さんから結婚すると聞いたのに。
「柚希があのときいきなり別れを告げて俺の前からいなくなったのは、父からのコンタクトがあったからなのだろう? そのときに俺に婚約者がいると吹き込まれたんだな」
「……っ」
驚き目を丸くする私に蒼斗さんは淡々と話を続ける。
「父はあの頃しきりに見合い話を勧めたがっていた。それは病院の経営と俺の未来を盤石なものにするための父なりの親心だったのだろうが、俺は断り続けていた。そんな俺に業を煮やした父が俺の身辺調査をして柚希の存在にたどり着き、父は君に会いに行ったようだ」
「どうやってそのことを……」
「あのときのことを想い出してみると不審な動きをする人物がいたことを思い出した。執事の早瀬だ」
〝早瀬さん〟とは、あのとき蒼斗さんのお父さんと一緒に私のもとへと会いにやってきたあの人のことだろう。
「え?」
解放された身体の隙間から蒼斗さんの顔を見上げた。重なった視線の先にあるのは真剣な表情で、彼が嘘を言っているようには見えない。
結婚していない? そんな……。
私はあのとき直接蒼斗さんのお父さんから結婚すると聞いたのに。
「柚希があのときいきなり別れを告げて俺の前からいなくなったのは、父からのコンタクトがあったからなのだろう? そのときに俺に婚約者がいると吹き込まれたんだな」
「……っ」
驚き目を丸くする私に蒼斗さんは淡々と話を続ける。
「父はあの頃しきりに見合い話を勧めたがっていた。それは病院の経営と俺の未来を盤石なものにするための父なりの親心だったのだろうが、俺は断り続けていた。そんな俺に業を煮やした父が俺の身辺調査をして柚希の存在にたどり着き、父は君に会いに行ったようだ」
「どうやってそのことを……」
「あのときのことを想い出してみると不審な動きをする人物がいたことを思い出した。執事の早瀬だ」
〝早瀬さん〟とは、あのとき蒼斗さんのお父さんと一緒に私のもとへと会いにやってきたあの人のことだろう。