双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「もし、もし……」

出るか迷ったものの、私はその電話に出た。

『柚希、今休憩中か?』

「はい。そうですけれど」

電話の相手は蒼斗さんだ。

私が電話を無視しなかったのは、ある前例があるから。

実はあの宣言の翌日から蒼斗さんの猛アタックが始まったのだった。メールや電話が何度も来ていたが、私はそれをスルーしていた。

それが逆効果だったらしく、彼は休みの日に茶房にランチを食べにくるという行動に出たのだ。

また同じ行動をされては私が困るから。私は彼からの連絡を無視することはやめた。

『次の土曜は仕事が休みだと言っていただろ? 俺もちょうど休みだから一緒に水族館に出かけないか?』

「す、水族館?」

『もちろん蒼汰くんと優斗くんも一緒にだ』

「それはちょっと……」

丁重にお断りしたいところだ。

『まだ時間はあるし少し考えてくれ。もし水族館じゃないところがいいならそう言ってくれても構わないし、ご飯も美味しいところをチョイスしているから楽しみにしていてくれ』

「……そう、なんですね。ひとまず休憩時間が終わるので電話を切りますね」

『ああ。また連絡する』

電話を切り、天を仰いだ。
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