双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました

「仁紀の気持ちも知らないで、ひどいことを言ってごめん」

「いいって別に。それより蒼汰と優斗は確実に父親という存在を求めている。俺に対するふたりの態度を見てれば、姉ちゃんも薄々気づいているだろう？」

「……」

仁紀が核心をつくようなことを言うから、私はなにも言い返せない。

「いくらふたりの母親でも、蒼汰と優斗から父親を奪う権利はないと思う。姉ちゃんも本当は心のどこかで彼のことを想っているんじゃない？」

仁紀の優しい声色に、じわっと視界が滲む。

「もう、これから仕事に戻らなきゃいけないのに泣かせないでよ」

「泣き虫だな」

「もう、仁紀のバカ」

「まだ遅くないさ。大丈夫だよ。俺は姉ちゃんの味方だから」

仁紀の優しく力強いその言葉に心動かされ、私はある決意を固めた。

本当は、こうやって誰かに背中を押してもらいたかったんだと思う。

思いのままに生きよう。

きっとそれがいちばん後悔なく生きていける道の気がするから。