双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「とっても優しいからすぐに仲良くなれると思うよ」

私の言葉を聞くと優斗は安心したように笑い、持参したリュックから電車の絵本を取り出し読みだした。

そうこうしているうちに水族館の最寄り駅に着き、ふたりと手を繋いで電車を降りた。

そして改札口に向かう。実を言うとかなり緊張している。

蒼斗さんとメールや電話でやり取りをしていたものの、彼を目の前に普通にできるだろうか。

そわそわと落ち着かない心を鎮めようと深呼吸した矢先、

「あー! スーパーマンだ~!」

蒼斗さんの姿を見つけた蒼汰がそう叫び、私の手を離し走り出した。

「蒼汰、待ちなさい。走らないで」

私の注意には聞く耳を持たず、蒼斗さんに一直線だった。優斗と手を繋いで蒼斗さんのところに向かう間、蒼斗さんと蒼汰の様子を遠目で窺う。

ニコニコと笑いながら蒼汰は蒼斗さんに話しかけ、それを蒼斗さんは目線を合わせて唇を弓なりにしながら聞いている。そのまなざしはとても優しい。
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