双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
白衣を着たお医者様の姿とはまた異なる彼。

水色の七分の爽やかなシャツにタイトめの黒のジーンズ姿の、柔らかな雰囲気の蒼斗さんがそこにいる。ふと、蒼斗さんと一緒に居た頃を思い出してしまった。

それにしても蒼斗さんはモデルのように絵になる。さっきから通りすがりの女の子が、蒼斗さんの方を振り返り見ていく様が何度も見受けられる。

「待たせてしまってすみません。いろいろ準備をしていたら、家を出るのが遅くなってしまって……」

「俺も今着いたところだから」

柔らかく微笑みながら私を見る瞳が下の方へと向けられた。その先にいるのは、優斗だ。

優斗は不安げな表情を浮かべ緊張気味。私の手を握る小さな手に力が入っていることに気がついた。

「優斗くん、今日は一緒に楽しもうな」

蒼斗さんは優斗に視線を合わせ、優しく頭を撫でた。優斗は戸惑いながらもコクンとうなずく。人見知りの優斗には、まだ時間が必要なようだ。
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