双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
蒼斗さんが優斗を肩車している様子が視界に入った。

今日いちばんと言ってもいいくらいの笑顔を浮かべ、ラッコを指さす優斗。そんな優斗に蒼斗さんが話しかけている。

人に心を開くのに時間がかかる優斗が、こんなに早く心を開くのは珍しい。やはり血の繋がった親子だから、なにか通じるものがあるのだろうか。

「あー! 優斗ずるい~! 蒼汰もかたぐるまがしたい」

優斗の様子に気が付いた蒼汰が抱っこしていた私の胸で暴れる。慌てて下に下ろせば、一目散に蒼斗さんのもとへ走り出した。

「スーパーマン! かたぐるまして!」

「だめ! いま、優斗のばんだもん」

「優斗ばっかりずるい!」

「分かった、分かった。順番な」

蒼斗さんは子供の扱いに慣れている様子。ふたりにせがまれてもそれをうまく宥めて代わる代わる相手をし始めた。

そこには他の親子と変わらない微笑ましい光景が広がっている。ふたりと外に出かけてこんなにも楽だと感じたことはないかもしれない。

それにもっとぎくしゃくすると思っていたが、蒼斗さんが気を遣ってくれて楽しい時間を過ごせている。息子たちがあんなに嬉しそうにはしゃぐ姿を見られて私も幸せな気分だ。
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