双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「やっぱりこっちに居たか」

と、そのタイミングで仁紀が優斗を抱っこしてリビングに現れ、蒼斗さんに一礼すると私の隣に座り込んだ。

「蒼汰、作ったクッキーを父さんたちに持って行くって聞かなくてさ。あとで行こうって言ったんだけど、納得してなかったみたいだな。トイレに行くって言ってなかなか帰ってこないから、もしやと思ってこっちに来てみたんだ」

「そうだったのね」

頑固な蒼汰らしい。こうと決めたら蒼汰は曲げない。誰かさんにそっくりだ。きっと蒼斗さんに似たのだろう。

「ママ、クッキーたべて。おいしいよ」

仁紀の膝の上にひょっこりと座る優斗が、仁紀と作ったであろうクッキーを持っていて、それを嬉しそうに手渡してきた。

「上手に作れたね。ありがとう」

「ママ~、なんであおとせんせいがおうちにいるの?」

「それは、その……」

「優斗きいて! スーパーマン、パパなの!」

「パパ?」

興奮気味に蒼汰が会話に割って入ってきて、蒼斗さんを指さし優斗に伝えようとするが、主語も述語も皆無な蒼汰の言葉に優斗は首を傾げている。
< 78 / 171 >

この作品をシェア

pagetop