双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「蒼汰! 先生はお忙しいのだからこっちに来て! 仁紀と一緒にお家に行くわよ」

ついつい言葉が荒ぶってしまったが、平静を装う余裕は今の私にはない。

早く子供たちをこの場から離したいが蒼汰はこっちに来る様子はなく、内心ひやひやしながら動向を見守るしかない。それがもどかしすぎて、胃に穴が空きそうな勢いだ。

「スーパーマンか。蒼汰くんのスーパーマンになれて嬉しいよ。じぃじ早く元気になるといいな」

蒼斗さんは椅子から立ち上がり、その場に膝をついて蒼汰の頭を優しく撫でながらふわりと笑い、アップルジュースを受け取った。そして蒼汰を抱きかかえ、私のもとへとやってきた。

「かわいい息子さんですね」

「急に息子がすみません……」

大丈夫。彼は気づいてはいない。

蒼汰と優斗が自分の子だとは。
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