双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
それでも四人で過ごす時間が増えることはありがたい。蒼汰と優斗も蒼斗さんと一緒に住むのを楽しみにしている。

そうこうしているうちに保育園へのお迎えの時間が迫る。

「お父さん、私ふたりの迎えに行ってくるね」

「ああ。気をつけてな」

車で保育園に向かい、ふたりのクラスに行くとそこに蒼汰と優斗はいなかった。その場にいた園長先生に尋ねると、園庭で遊んでいるということでふたりの荷物を手に持ち園庭の方へ歩みを進めていく。

すると園庭にあるベンチのところでなにやら作業をしている様子のふたりがいた。

「蒼汰、優斗! おうちに帰るよ~」

遠くからふたりに声を掛けると、ふたりは〝こっちに来て〟と私を手招きする。

「どうかしたの?」

ふたりのいる場所へと着き上から覗き込むと、ふたりが嬉しそうな顔を浮かべながら手に持っていたものを私に見せてきた。

「竹とんぼ? これどうしたの?」

「シノさんにもらったの」

「シノさんがつくったんだって」

シノさんとは、この保育園の清掃員さんだ。週に何度か仕事をしに来る六十代くらいのスラッとした細身の男性。

けん玉やコマなど昔の遊びをよく子供たちに教えてくれるみたいで、蒼汰と優斗も彼のことを慕っている。苗字が東雲(しののめ)さんというので、みんな彼のことをシノさんと呼ぶ。
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