双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
私が焦った理由はそれだ。

蒼斗さんと別れた直後に妊娠が発覚し、私は彼に内緒で彼の子を産んだのだ。

それがひた隠しにしてきた、誰にも伝えていない真実。

「できれば今度ゆっくり会いたい。アップルジュースのお返しをたっぷりさせてもらうよ」

蒼汰を受け取る直前、耳元で囁かれた言葉。

目を丸くしながら彼に目をやれば、そこには悪戯っぽく笑う姿があり、その瞳はすべてを見透かしているようにさえ見える。

動揺から高鳴った心音が頭にまで響きだした。

──秘密はいつか暴かれる。

嘘で固めて塞き止めても。

するりとすり抜けて真実は明るみに出てしまうものなのだ。

それは私にとっても例外ではなかったのだと私が知るのは、もう少しあとのこと。
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