双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
「ここからはふたりの時間だな」

蒼斗さんがクッと口角を上げて笑い、私の手を引きリビングのソファーへと連れて行った。

「ちょっと待っていて」

そう言うと冷蔵庫からおつまみやノンアルコールのシャンパンを取り出し、こちらへ戻って来て隣に腰を下ろした。

「まったりしながらゆっくり過ごそう。そういう時間も大切だろ」

グラスにシャンパンを注ぎ終えると、ふたりで乾杯しおつまみを摘まみながら蒼汰と優斗が赤ちゃんだった頃のビデオを観だした。

隣に座る蒼斗さんはずっと画面にくぎ付けで、何回も〝かわいい〟と連呼中だ。

「このときに同じ時間を過ごしたかったと思ってしまう」

憂いを帯びた目で私を見つめる蒼斗さんが切なげに笑う。

「泣いているのですか?」

「はは。涙腺が弱くなったな。ふたりの小さいときの様子を見て嬉しさと愛おしさが込み上げてくると同時に、切なさと悔しさもあって……。でも、後悔しても時は戻らないし。再び一緒に歩めるようになったのだから、これからたくさん四人で大切な思い出を作っていこう」

蒼斗さんの言葉に力強くうなずいた。

遅いなんてことはない。大事なのはこれからをどう過ごしていくか、だ。
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