セカンドマリッジリング ―After story—
「颯真さんや涼真さんの役に立てるなら、私は構わないわ。一人で心細く離れて待っているよりも、傍で力になれる方がずっと良いし」
「花那、でも……」
大人しそうに見える花那だが、本当は芯の強い女性だということは颯真も分かっている。今まで苦労してきた経験からか、予定外の出来事への対処もかなり慣れている。
花那の気持ちを考えれば、一緒に行動した方が安心出来るというのも納得は出来るのだが。
「颯真さんにとって私が足手纏いというのなら、家で大人しくしているわ。だけどそうでないのなら、私もこの深澤家の一員として認めてもらえるチャンスが欲しいの」
「花那さんは、凄いな。そんな風に言ってくれる女性に、俺もいつか出会えるだろうか」
感心したように涼真はそう話す。義両親や義妹にあんな風に扱われてもなお、自分を認めてもらうために努力するその強さに驚いたのだ。
お金や地位が目当ての女性ならいくらでも寄ってくる。だが涼真の為にそこまで頑張ってくれる女性は今まで一人もいなかった。だからだろう……
「本当に羨ましいよ、颯真が」
「……兄さん」
これから先、涼真と共に戦ってくれる女性が現れるかは分からない。それでも颯真たちは、そんな涼真を心から支えてくれる相手が見つかることを願うだけだ。
深澤の家、そして継ぐべき会社……たくさんの重圧に耐えて一人で頑張ろうとする彼の全てを愛してくれる、そんな女性に出会えるようにと。