セカンドマリッジリング ―After story—
「そんな我儘が言える立場だと思っているのか? 今まで十分好き勝手させてもらっておいて」
好き勝手? 今まで颯真に興味も関心も無かったくせにこんな時だけそんな風に言うのか。颯真の自由だって涼真のお陰であったようなものだし、両親に何かしてもらった覚えなどないのだが。
……育ててもらったことは感謝している、だがそれだけだ。
「父さんにとっては子供とは都合よく使える存在なのかもしれませんが、俺も兄さんも人形ではありません。きちんとした自分の意思でやることは決めさせてもらいます」
「全く、お前も涼真もここまでしてもらって何が不満だというのか。やはり妻の育て方が悪かったのだろう」
平気でそんな事を言う父に颯真は全身が熱くなるような気がした。こういう時に責められるのはいつも出来の悪い自分か母ばかりだった。
そのせいで母親は後継者の涼真に依存し、今現在正気を保てないほどの状態になってしまっている。それなのに……
「育児や教育に何も参加しなかった父さんが母さんを責めるのは間違いだと思いますが?」
「……私はお前たちに人並み以上の教育と生活を与えてきたはずだ。それ以上に私に何を望む?」
颯真と彼の父との会話はいつまでも平行線だ。お互いが相手に求めるものが全く違う上に、父親の斗真は子供である颯真や涼真の気持ちを分かろうという気もないらしい。